パパ、ママ、笑って
    お星さまになった愛犬から飼い主へ
    
    
    

  1.僕、ハル。パパとママの3人暮らし。
    
    でも僕は犬だから本当の親子じゃないけど・・・
    
    とっても大切にされているから幸せなんだ。
    
    
    
  2.でも・・・3年前に僕は死んじゃった・・・
    
    その日からパパとママはずっと泣いている。
    
    だから僕は天国に行くのをやめて、毎日ここでパパとママを見ているんだ。
    
    
    
  3.あ、神さまだ。
    
    
    「ハル、まだ天国に行かないのかい?」
    
    「うん・・・だってパパとママのことが心配で・・・」
    
    「じゃあ、もしお父さんとお母さんが元気になったら天国に行くかい?」
    
    「うん・・・」
    
    「それなら一日だけ、ハルを元の世界に戻してあげよう。
    
     さあ、お父さんとお母さんを元気にしておいで。」
    
    「ほんと?やったー、パパとママに会えんるんだ。」
    
    
    
  4.今日はパパとママに会える。
    
    嬉しいな。パパとママもきっと喜んでくれる。
    
    
    
  5.でも・・・明日になってまた僕はいなくなったら・・・
    
    どうしたらパパとママが本当に元気になるのかな・・・?
    
    
    
  6.あれ?あの子は迷子かな・・・?
    
    
    「キミ、どこから来たの?お父さんとお母さんは?一人ぼっちなの?」
    
    「ク〜ン・・・」
    
    「そうだ。キミが僕の家の子になればいいんだ。
    
     僕のパパとママならきっとキミを守ってくれるし、パパとママも元気になるかもしれない。」
    
    
    
  7.僕の家が見えてきた・・・
    
    
    「そこが僕の家だよ。でも僕は行けないんだ。
    
     明日になって、また僕がいなくなったらパパとママが悲しむから・・・
    
     だから一人で行って。
    
     それから・・・僕がここに来たことはパパとママには言わないで・・・」
    
    
    
  8.あ、パパとママだ。
    
    
    「この子は捨て子からしら?かわいそうに・・・小さい頃のハルみたい・・・」
    
    「そうだね・・・ウチの子にしようか?」
    
    
    
  9.よかった。パパとママが笑っている。
    
    これであの子も元気になるし、パパとママもきっと元気になる。
    
    本当はパパとママに会いたかったけど・・・でもこれでいいんだ。
    
    
    
 10.あ、神さま・・・
    
    
    「ハル、天国に行く準備はできたかい?」
    
    「はい。神さま。」
    
    
    
 11.僕はパパとママが大好きだ。
    
    だからパパとママにはいつでも笑っていて欲しい。
    
    少し寂しいけど、これでやっと安心して天国に行けるよ。
    
    
    
 12.さよなら、パパ、ママ。すっと元気で笑っていてね。
    
    僕はいつでもパパとママを見守っているから。
    
    
    
 13.こうしてハルは天国へ旅立っていきました。
    
    何度も振り返って、大好きなパパとママの笑顔を見ながら・・・
    
    
    愛犬を亡くした悲しみは簡単には癒されるものではないでしょう。
    
    でもそんなあなたを見て愛犬はどう思っているのでしょうか?
    
    愛犬のためにも愛犬との思い出を大切に、そして顔を上げて笑って下さい。
    
    天国にいる愛犬があなたの笑顔を見られるように・・・
    
    
    

    ※このお話は、お星さまになった先代ワンコやお友達ワンコを想って作りました。
     主人公は"ハル"という名前ですが、ウチの子"はる"は元気です。
     
    ※このお話は、三重県の「鳥羽わんわんパライダイスホテル」で
     客室フロアーの壁にも絵本(壁画)として描いていただいています。